内分泌
内分泌研究班は歴史的にも古く、そのルーツは当科が臨床講座として発足して間もない昭和40年代の自律神経内分泌班にまで遡ります。以後、バセドウ病や糖尿病などの内分泌・代謝系の心身症についての診療と研究を精力的に行ってきました。日本糖尿病学会の教育関連施設にも認定されています。また、摂食障害とくに神経性やせ症に関する診療と研究は全国でも最も古くから行われており、現在の研究班における臨床および研究の柱となっています。
臨床について
対象疾患
- 摂食障害(神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害、回避制限性食物摂取症など)
- 内分泌代謝系の心身症(1型・2型糖尿病、バセドウ病など)
- 肥満症
診療内容
- 摂食障害
- 神経性やせ症や神経性過食症、過食性障害などの摂食障害の患者さんの診療を行なっています。年間150名程度の初診患者さんが来院しています。また、常時15名以上の摂食障害患者さんが入院し、全国でも最大規模の摂食障害治療施設となっています。平成27年からは全国3ヶ所に設置された摂食障害治療支援センターの1つに指定され、福岡県における摂食障害患者さんやご家族への相談支援および診療システム確立のためのモデル事業を展開しています。神経性やせ症の入院治療は当科で開発した行動療法をベースとした治療法を伝統的に行なっており、良好な治療効果を得ています。また、世界的に治療効果が報告されている「摂食障害に特化した外来認知行動療法」(特に神経性過食症)についても積極的に導入を行なっています。さらに、1型糖尿病に摂食障害を合併した患者さんに対する治療についても体系化されており、全国から患者さんのご紹介をいただいています。また、摂食障害ついての詳しい情報は福岡県摂食障害支援拠点病院のホームページをご参照ください。
- 内分泌・代謝系の心身症
- ストレスと内分泌・代謝疾患(糖尿病やバセドウ病など)は密接に関連しており、通常の内科的治療ではなかなかコントロールが難しい場合があります。このような場合は、心と身体の両面からの治療が必要となります。当研究班ではこうした患者さんに対する内科的治療に加え、認知行動療法などの心理療法や自律訓練法などのリラックス法を導入し心身医学的治療を行っています。
- 肥満症
- 認知行動療法をベースとした診療を行っています。
研究について
歴史的には甲状腺疾患、糖尿病、肥満症、神経性やせ症を対象とした臨床研究および基礎研究が行われ、業績が多数残されています。
こうした伝統を受け継ぎつつ、現在以下のようなテーマで研究を行っています。
- 1. 摂食障害の病態についての基礎・臨床研究:神経性やせ症の心理的・身体的病態の特徴や腸内細菌などについての研究を行っています。
- 2. 摂食障害の治療法の開発についての研究:神経性やせ症や神経性過食症などの摂食障害に対する新たな治療法を開発し、効果検証を行っています。
- 3. 肥満症の病態と治療についての臨床研究を行なっています。
また、以下のような全国規模の研究・開発プロジェクトに参画し、他施設との共同研究を行っています。
- 1. 心身症・摂食障害の治療プログラムと臨床マーカーの検証 (国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神・神経疾患研究開発費)
- 2. 摂食障害支援拠点病院(旧:摂食障害治療支援センター)における相談・支援事例の調査(摂食障害全国支援センター)
- 3. 摂食障害に対する認知行動療法の有効性の神経科学的エビデンスの創出(AMED国際脳)